いよいよ来年の2024年の1月より新NISA制度が開始となります。
これを機にNISAを始めようとしている方も多いかと思いますが、始めるにあたって新NISA制度について様々な疑問を持たれているのではないでしょうか?
そういった方に向けて、シリーズ企画として不定期で新NISAに関するよくある疑問について取り上げていこうと思います。
第四弾は、新NISAで購入する投資信託について、買うのは低コストの全世界株式のインデックスファンド1本で良いという話をよく聞きますが、実際に全世界株式1本で十分なのか考えてみようと思います。
基本的には全世界株式1本で十分!株式以外の資産への投資は不要!
まず、結論から申し上げますと、新NISAでは全世界株式のインデックスファンド1本への投資で問題ありません。
こう言うと、「株式以外の資産も持ってリスク分散をしたほうがいいのではないか?」や「同じ銘柄だけしか持っていないと暴落した時にマズいのでは?」といった不安を感じる方もいるかと思います。
では上記のそれぞれの不安に対して、なぜ全世界株式1本で良いのかという理由をそれぞれ書いていきます。
①株式以外の資産は不要?
今回の新NISAは、非課税枠が1,800万円という大きな金額になったことばかり注目されているので、忘れられがちですが、NISA制度最大のメリットは売却時にどれだけ大きな利益が出ていたとしても、全額非課税になるという点です。
そのため、新NISAを最大限活用するためには、リスクとリターンのバランスを取りながらも、最大限のリターンを求める姿勢が重要になります。
一般的に株式はハイリスク・ハイリターンの資産であり、株式と別の動きをするREITや金などの資産を持つことで、運用リスクを抑えることができるといわれていますが、新NISAは基本的に数十年単位の長期運用が前提の制度であり、別記事で取り上げたように、長期運用による複利効果で、株式の元本割れのリスクはほとんどなくすことができるのです。
逆を言うと、REITや金は長期運用しても複利効果はほとんど得ることができず、長期運用をしていると、株式の複利効果を最大限活かせない原因になってしまうのです。
また、複利効果がないことで、ずっと同じ資金配分で積み立てているはずなのに、株式の比率が高くなっているなんて事態も起きうると思われます。
その場合、リスク低減のために組み上げたポートフォリオを維持するためには、REITや金への資金配分を増やす必要があり、結果としてさらに株式の複利効果が減らされてしまうという悪循環が発生することも考えられます。
もちろん、新NISAの出口戦略を考えた時に、全世界株式の銘柄が売りたいときに元本割れしなくても、大暴落しているという可能性は考えられます。
しかし、その時に複利効果のないREITや金を持っていたとしても、大暴落の損失を補填できるほどの利益は得られていないと思いますし、何より新NISAは非課税期間が無期限となっていますので、市場の景気が悪いときは売却を見送って、市場の回復を待つということが可能です。
そのため、運用資産については全世界株式1本で良く、複利効果のない株式以外の資産に投資するより、コツコツと全世界株式への投資を積み立てて複利効果を生み出し、じっくりと売り時を考えるという手法が最も良い方法だと思います。
②全世界株式1銘柄集中で大丈夫?
では、株式でも全世界株式1本に集中投資することはリスクではないのでしょうか?
基本的に、全世界株式はその名の通り、全世界の有名企業のほとんどすべての株式に投資しているのと同じですので、株式の中では最も個々の企業の個別リスクの影響が低くなっている投資信託になります。
そのため、全世界株式1本で運用することが株式運用の中で最も低リスクであり、むしろ全世界株式以外の株式は全世界株式よりも運用リスクが高い資産になりますので、リスク分散の効果はほとんどないのです。
ですが、全世界株式にも実は注意すべきリスクはあります。それが「より安いコストの全世界株式銘柄が登場すること」です。
新NISAで長期運用を行う際に、運用コストは非常に重要な要素であり、より良い銘柄があることに気づかず、そのまま今までの銘柄で運用を続けてしまうと、大きな損をしてしまうことになりますので、新NISAの運用は全世界株式1銘柄集中で問題ありませんが、運用はほったらかしにせず、運用銘柄の動向はちゃんとチェックすることが大切だということはきちんと意識しましょう!
若い世代の方は一部資金を新興国に投資してもいいかも!
さて、新NISAは全世界株式1本で運用すればいいと散々書いてきましたが、運用期間を長く確保できる若い世代の方は、全世界株式に加えて、新興国株の投資信託を一部保有するのもアリかと思っています。
というのも、全世界株式と銘打ってはいますが、基本的に全世界株式の投資信託の保有資産の大半は米国株が占めており、新興国株の比率は非常に低いです。
先進国と新興国では、当然新興国の成長率のほうが高く、得ることのできるリターンも格段に違いますので、新興国専門の投資信託を一部保有して、全世界株式における新興国の比率を高めて、ポートフォリオのリターンを向上させて、一緒に上がったリスクについては長期運用の複利効果で打ち消すというのも一つの手だと思います。(もちろん保有比率は全世界株式が8割以上を占めていることが必須です。)
新興国については、それぞれの国の特徴や問題があり、どの国に投資するかの選択が未来の運用結果を大きく左右してしまいますが、注目している国や期待している国がある方は、その国に投資する投資信託を買ってみるのも非常に面白いと思います。
新NISAは全世界株式が基本!長期目線で低リスクの運用を心がけよう!
今回の記事では、新NISAの運用は全世界株式1本で良いかについて取り上げました。
新NISAでは、基本的に全世界株式のインデックスファンド1本への投資で問題ありません。
逆に株式以外の資産や、個別テーマの投資信託や、個別株を保有すると、リスクが増えたり、複利効果によるリターンを減らしてしまう可能性があるのです。そのため、全世界株式以外に投資する際には、それを保有することで得られるリターンや発生するリスクが、全世界1本で運用したときの想定よりも良くなっているかどうかを考える必要があると思います。
そういった意味では、若い世代の方が長い運用期間を活かして、若いうちに全世界株式と一緒に新興国株式に投資することで、リスクを上げすぎず、将来のリターンを高めるという手法はアリな運用方法だと個人的に考えています。
ただ、基本は全世界株式を中心としたポートフォリオで、低リスクかつ株式の高リターンを目指すことが一番良い新NISAの投資方法だと思います。
今回は「【新NISA攻略法④!】新NISAは全世界株式1本で十分か?」について書きました。
記事の中で参考になる点があれば運用のヒントにしてみてください。
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