投資は資産を増やす手段として一般的に利用されていますが、その中でも「高配当株投資」という手法は、多くの投資家にとって魅力的な選択肢です。
高配当株投資は、高い配当利回りを持つ株式を購入し、配当金を受け取ることで安定的な収益を得る手法です。
しかし、この手法はお金を増やしたい投資家にとっては効果的なのでしょうか?また、高配当株投資を始めるとしたらどのくらいの元本が必要なのでしょうか?
今回はこれらの疑問について考察していきましょう。
高配当株投資はお金を増やすには非効率?
高配当株投資は、その名の通り、高い配当利回りを持つ株式を購入し、その配当金を収益として享受する投資手法です。
多くの投資家にとっては、定期的なキャッシュフローを得ながら資産を増やす方法として魅力的に映る手法です。特に、リタイア後の収入の確保や、安定的なキャッシュフローの確保を目指す人々にとって、高配当株投資は興味深い選択肢となるでしょう。
しかし、高配当株投資がお金を増やすには非効率なケースも存在します。その理由や注意すべきポイントについて、詳しく見ていきましょう。
高配当株投資のメリットとデメリット
メリット
高配当株投資のメリットとして、配当金を受け取ることで、投資家は一定の収益を確保できます。
これにより、資産の増加だけでなく、定期的な現金収入も得ることができるため、生活の安定感が増します。また、株価の変動に左右されずに収益を得ることができるため、市場の変動に対する耐性をポートフォリオに持たせることができる点も魅力です。
デメリット
一方で、高配当株投資にはいくつかのデメリットも存在します。
まず、高配当を実現するためには、企業が配当金を増やすことが求められます。そのために、企業側の将来の成長への投資や事業拡大のための資金が不足する可能性があります。
成長を優先しないということは、長期的な資産増加の機会を逸することを意味します。また、高配当を提供する企業が業績悪化などで配当を減少させる場合、投資家の収益も減少する可能性があります。
成長投資との比較
高配当株投資と対比されるのが「成長投資」です。
成長投資は、将来の企業の成長を期待して株式を保有する手法であり、配当利回りではなく株価の上昇を追求します。一般的に成長投資のほうが高配当株投資よりも短期間で資産額が大きく増加する可能性が高く、お金を増やしたい投資家にとってはより効率的な方法といえます。
成長投資に比べると、高配当株投資は配当利回りが高い一方で、その企業の将来の成長性が限定的な場合が多く、配当を増やすことで投資家に魅力を提供している一方で、株価の伸びは鈍くなる可能性があります。そのため、高配当株投資はどちらかというと、すでに大きな貯金があって、その元本をあまり減らさずに利息で生活を豊かにしたい投資家向きの手法であり、お金を増やしたい投資家にとっては、株価の伸びが鈍い分、非効率的な方法といえます。
ただし、成長投資は安定して配当を出している高配当株の企業よりも株価の変動幅が大きく、価格変動への耐性が必要であり、将来の成果が不透明な点も注意が必要な投資方法だということには注意が必要です。
高配当株投資を始めてもいい元本の額は?
では高配当株投資を始めてもいい元本の額はいくらくらいなのでしょうか?
適切な元本額を見極めるためには、リスク分散の考え方や個々の投資家の状況を考慮する必要があります。高配当株投資を開始するためのベストな元本の額について、以下で詳しく解説していきましょう。
①リスク分散の重要性
高配当株投資においては、リスク分散が極めて重要な要素となります。
なぜなら、一社の株式に依存して収益を得る場合、その企業の業績や状況に左右されるリスクが大きくなるからです。1社だけの高配当株に投資してしまうと、その企業の業績が悪化した際に配当金が減らされたり、それによる株価の大きな下落により投資元本を大きく失ってしまう可能性があります。
リスク分散を実現するためには、異なる業種や市場に関連する複数の高配当株に投資することが必要です。
これにより、1社に依存するリスクを分散し、投資元本全体に与える影響を限定的にすることができます。コロナ禍などの例にあるように、特定の業界の業績が急激に悪化する場合も想定して、複数の高配当株を保有することがリスク分散の基本です。
②生活の質を向上させる程度の安定的な収益が必要
一般的に、高配当株投資はその名の通り、高い配当利回りを追求する投資手法です。
しかし、いくら高い配当利回りといえども、その利回りは年7%程度が最大で、4~5%程度が平均的な高配当株とされています。
つまり、高配当株投資による恩恵を実感するためには、その利回りで十分な配当金が得られるほどの一定の元本が必要になります。低い元本で高配当株に投資すると、配当金の収益が限定され、生活の水準が向上したと実感できない可能性が高く、長期的に投資するモチベーションを保てない可能性があるので注意が必要です。
高配当株投資は少なくとも元本300万円から始めるべき!
上記の2点から、複数の高配当株に投資出来て、かつ毎月1万円以上の配当金収入を得られるような元本の金額を考えると、少なくとも300万円以上の元本ができてから高配当株投資は始めるべきだと思われます。
東京証券取引所では、「日本株の最低投資額は50万円未満が望ましい」としており、元本が300万円あれば、最低投資額が50万円の企業でも6社に投資ができるため、十分なリスク分散効果が期待できます。
また、配当利回りを4%と仮定しても、元本が300万円あれば、税引き前ですが年12万円、月1万円の配当金が獲得できる計算になり、月1万円のプチ贅沢も実現できるため、元本300万円以上が高配当株投資の恩恵を実感することができる基準の金額だと思われます。
※高配当株投資を始める際には、個々の投資家の状況に合わせて適切な元本の額を検討することが大切です。300万円というのはあくまで一例であり、株価が比較的安定している高配当株投資でも、元本が失われる可能性があることを考慮しながら、リスク許容できる元本の金額で投資を行うことが重要です。
高配当投資はお金が貯まってから始めよう!
今回の記事では、高配当株投資について取り上げました。
高配当株投資は、定期的な配当金を受け取ることで収益を得る魅力的な投資手法です。
しかし、お金を増やす観点から見ると、高配当株投資が常に最適な選択肢ではないことも理解する必要があります。高配当株投資は成長とのトレードオフがあり、お金を増やすのであれば、より成長にフォーカスした投資法を実践したほうが効率的だといえます。
また、高配当株投資には、リスク分散と生活の質が向上したと実感できるだけの大きな元本が必要であり、適切な元本額とリスクのバランスを見極めつつ、高配当株投資を検討すれば、より豊かな生活を実現することができるでしょう。
今回は「【始めるのはまだ早い!?】高配当株投資のメリットデメリットについて!」について書きました。
記事の中で参考になる点があれば運用のヒントにしてみてください。
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