市場全体に幅広く投資するインデックス投資では、「たとえ一時的に株式市場が大暴落しても、長い目で見れば経済全体は発展しているので問題ない」という意見がよく見られます。
実際に金融庁の資料で、株式と債券を対象に国際分散投資を20年続けた場合、元本割れするケースはなかったとする資料も公開されているほどです。
こういった資料を見ると、株式と債券だけでリスク分散は十分で、金にまで投資をするのはコストが増えて投資効率が悪くなるだけじゃないかと思われますよね。確かに、金投資はコストの面で投資家の負担を増やしてしまう点は事実です。しかし、資料はあくまで過去の実績でしかありません。私は、金投資はこれからの時代の資産運用のリスク分散に必要不可欠な資産だと思っています。今回はそのことについて解説していきます。
金投資のメリット・デメリット
まずは、金投資のメリットとデメリットについてまとめてみましょう。
メリット
- 株式や債券などとは独立した動きをするので、リスク分散になる
- 物質的裏付けを持つ資産なので、大暴落しにくい
- 世界的にこれから希少性が増す資産
デメリット
- 手数料が高い
- 利息や配当を生まない
- 管理が大変(現物購入の場合)
メリットについて
まず、金の最大のメリットは、この後記述する資産としての特殊性から、株式や債券と違う独立した動きをする資産のため、資産運用のリスク分散になるという点です。実は最近、株式と逆の動きをするといわれていた債券が、株式と同時に下落していて分散投資の効果が見られないという状態が発生しているのです。
この現象が一時的なものなのか、もはや債権と株式では分散効果がなくなったのかは、まだ結論は出ていない状態ですが、これからは過去の資産ごとの相関関係の定説が通用しない時代が近づいていて、リスク分散として金を資産運用に取り入れる必要性を考える時代になっているのかもしれないのです。
では、金がどうして独立した動きをするのか、金という資産独特の特徴について見てみましょう。まず、金は「現物資産」と呼ばれるように貴金属として物質的な価値が必ず残る資産のため、大暴落しにくいという特徴があるのです。たとえ株式に資金が集中している状況でも、一定の価値を保ち続けることができる点は金独自の利点であり、これが金の独立した動きを生み出しているといえるでしょう。
加えて金自体の希少性というメリットもあります。貴金属としての金は通常鉱山などで採掘されたものが流通していますが、埋蔵量は年々減少しています。リサイクル技術の向上など様々な対策は講じられていますが、自然にとれる金が減る以上、金の希少性は今後さらに高まるものと思われますので、投資対象としての価値は今後より高くなるものと思われ、無限に発行できる株や債券とは違い、今後さらに独立した動きをしていくでしょう。
これらの金独特の性質が株式や債券とは独立した値動きを実現しており、資産運用のリスク分散に貢献できる要素となっているのです。
デメリットについて
金投資の最大のデメリットは高い手数料でしょう。金投資にはさまざまな方法がありますが、いずれもコストがかかってしまいます。例えば金の価格に連動する投資信託も存在するのですが、いずれも株式の動きに連動するインデックスファンドと比較して手数料はコストは高めです。
また、利息や配当を生まないというデメリットもあります。金投資はあくまで、金という現物資産自体の価値の上下でのみ成り立っている投資ですので、銀行預金や株式のように利息や配当がもらえるわけではないのです。
また、もし延べ棒や金貨など現物で金を保有する場合、紛失や盗難のリスクが常に伴い、管理が大変になるというデメリットもあります。
金投資の種類について
それでは、具体的に金投資を行う方法にどんなものがあり、どんな特徴があるか見てみましょう。
方法 | メリット | デメリット |
金地金(延べ棒) | 現物のため、換金が容易 | 一つ一つが高価なため、盗難のリスクが高い |
金貨 | 換金が容易かつ、少額から購入できる | コレクション性が高く、投資対象としては難しい |
投資信託 | 保管費用不要、100円から購入可能 | 保有中は常に信託報酬がかかる |
ETF | 保管費用不要、投資信託より低コスト | 1口単位での購入のため、定額の積立買付は不可 |
金鉱株※ | 配当金がもらえる | 金以外の事業の影響を受ける |
純金積立 | 定量・定額積立両方可、少額から購入可 | 年会費や購入時手数料がかかる |
※金鉱株→金の採掘や精錬などの金に係る事業を行う企業の株式のこと
金地金や金貨は現物なので想像しやすいですね。とにかく手元に保管ができる資産なので、どんな場合でもすぐに換金ができます。ただし、その分普段の保管に気を配る必要がある点がデメリットでしょう。
投資信託やETFは実際に金を持つのではなく、金の価格に連動する商品を購入することで、金の値動きを資産運用に取り入れることができるものです。いずれも保有中にコストがかかってしまう点はデメリットですが、普段使用している証券会社などで、株を購入するのと同じ手順で購入できるので、個人的には金投資を行うなら投資信託かETFで保有するのが良いと思っています。
特にETFについては投資信託より手数料が低いのでおススメです。積立買付ができない点はデメリットですが、実はある方法を使うと積立買付が可能になります。その方法については別の記事でまた触れようと思います。
金鉱株は採掘事業などを行っている会社の株を購入する方法ですね。株式なので配当金をもらえる点はメリットですが、企業として金の採掘だけを行っているわけではないので、その他の事業の影響をモロに受けてしまう点は、せっかくの金の独立した値動きを失わせてしまうのでデメリットといえます。
純金積立については、少額からコツコツ買付できる点はメリットですが、購入時手数料がSBI証券など主要証券会社で1.65%とかなり高いです。
金投資を行う方法はこのようにたくさんあるので、それぞれの投資方法の特徴を把握して、自分に最適な方法を見つけることが重要でしょう。
リスク分散のために少しでも金投資を始めよう!
今回の記事では、金投資のメリット・デメリットについて書きました。
近年の各資産の動きは複雑になっており、過去の定説がさらに通用しなくなる時代が近づいています。
金は現物資産として株式や債券と独立した動きを持つのが特徴の資産であり、さらに物質的裏付けがある資産なので、投資資産の一部を金投資に回すのは資産運用のリスク分散としてとても有用だと思います。
しかし、金投資の「配当や利息が付かない」点や「手数料が高い」点は事実ですので、あくまで総資産の10%程度を金投資に回すぐらいがリスク分散としてちょうどいい比率かと思います。
また、金投資は投資方法が多様な点も特徴で、私は投資信託かETFでの投資をおすすめしています。いずれ、具体的な銘柄についてもご紹介する記事を書こうと思います。
今回は「【「金」はリスク分散にて最強!】私が金投資を勧める理由」について書きました。
記事の中で参考になる点があれば運用のヒントにしてみてください。
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