【J-REITの落とし穴!】高配当に騙されるな!特別分配金の仕組みについて

REIT

J-REITといえば別記事でも触れましたが、少額から不動産投資ができて、高配当が魅力の投資対象です。

しかし、実際にJ-REITに投資したことがある方の中には、年に2回(1回の場合もあり)届く明細(分配金計算書)に「普通分配金」の明細だけではなく、「特別分配金(元本払戻金)」という別の明細を見たことがある方もいるのではないでしょうか?

実はこの特別分配金はREITの運用で得られた収益以上の分配金のことを指しているのです。

得られた収益以上の分配金を出すということは、投資法人は赤字ということなのでしょうか?いくら高配当でも、もし赤字ならばその投資法人に投資するのは危険ではないのでしょうか?

今回はJ-REITの特別分配金について、REITの特殊な制度体系と共に解説し、特別分配金の仕組みと課題について見ていきます。

J-REIT特有の制度体系について

特別分配金の話をする前に、そもそもJ-REITの特殊な制度体系について、解説します。

J-REITの運営を行うのは投資法人と呼ばれる会社のような組織なのですが、実は「法人」と付いていながら、利益の90%超を分配金に充てれば、法人税が掛からないという特殊なルールが存在します。

そのため、J-REITの分配金は総じて高配当になりやすく、投資家にとっては税引き前の利益を配分してもらえるというメリットがあります。

ちなみに、今ご紹介したルールを読んで既にお気づきの方もいるかもしれませんが、「利益の90%超を分配金に充てる」ということは、内部留保に回せる利益がほとんど残らないということなのです。

もちろん、不動産の家賃収入は比較的安定しているので、内部留保を貯めなくても毎年大体同じくらいの収入は見込めます。

しかし、新しい不動産に投資する際には、投資を行う元手がないので、社債などを発行して借り入れを行うことになります。これまでは低金利政策のおかげで、借り入れも大きな問題ではなかったですが、今後は金利も不透明な時代になるので、今後J-REITに投資するのであれば、より一層財務状況の良いREITを厳選する必要があると言えるでしょう。

特別分配金について

さて、特別分配金に話を戻しましょう。

特別分配金とは、先に触れたように「REITの運用で得られた収益以上の分配金」のことで、本来的には一時的に利益が大きく減少したときに、従来の分配金支払い水準を維持するために用いられる緊急用のお金のことなのです。

では、この分配金はどのように捻出しているのでしょうか?先に触れたように、多くの投資法人は既に収益のほとんどを分配金に回しており、内部留保もほとんどありません。

答えは減価償却費にあります。

減価償却費とは、事業のために購入した資産の価値を、経年劣化にあわせて減らしていくために計上する帳簿上の費用のことです。

この費用は帳簿上にのみ計上されるもので、「非資金費用」と呼ばれ、実際の資金支出は伴いません。つまり、計上した減価償却費分の金は、投資法人の手元に残ることになります。

この資金が特別分配金の元手になるというカラクリなのです。

しかしこの特別分配金ですが、そもそも投資家が出資している投資法人が保有している資産の減価償却費から生み出されているお金なので、投資した元本の一部を払い戻しているだけなのです。

そのため、特別分配金は元本払戻金とも呼ばれ、元本の払い戻しは収益ではないので課税もされない特殊なお金なのです。

課税されないならオトクじゃん!」と思われる方もいるかもしれませんが、特別分配金の金額分はそもそもREITに投資した元本の金額から差し引かれているので、そもそも損も得もしていないのです。

投資家にとって損にも得にもならないのであれば、特別分配金は何が問題なのでしょうか?

一番の問題は、緊急用の資金である特別分配金を多用して、本来の収益性以上に高配当に見せかけている投資法人がいるということなのです。

もちろんコロナ禍のような非常事態の時に特別分配金を出して、一時的に配当金を維持することは、本来的な特別分配金の使い方であり問題ないのですが、毎期連続して多くの特別分配金を出しているような投資法人は注意で、本来の収益性以上に高配当を無理やり演出している可能性が高いと言えるでしょう

毎期の分配金の実績は各投資法人のHPにて公開されていますので、投資を検討しているREITがあれば、HPで特別分配金の実績も確認して、きちんと収益性の裏付けのある銘柄に投資するようにしましょう。

高配当に騙されるな!本当に収益性のあるREITに投資しよう!

今回の記事では、J-REITの特別分配金の仕組みと課題について解説しました。

特別分配金は投資した元本の一部を払い戻しているだけで、実際には投資家にとっては損も得もしていないのですが、特別分配金も含まれた配当利回りは高く見えてしまうという点に注意が必要です

特に、何期も連続して多額の特別分配金を出している投資法人は、そもそもの投資不動産の収益性が低下している可能性が高いので、投資の見直しなどの対応が必要かもしれません

特別分配金の実績は各投資法人のHPでも確認できるので、そういった情報を活用して、本当に収益性が高いREITを探しましょう!

今回は「【J-REITの落とし穴!】高配当に騙されるな!特別分配金の仕組みについて」について書きました。

記事の中で参考になる点があれば運用のヒントにしてみてください。

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