2023年には中国を抜き世界最多人口の国となるインドのこれからの成長に、今世界中の注目が集まっています。
日本でも、別記事で取り上げたようにインド関連の投資信託銘柄が新設されるなど、今後のインド投資が活発になることが予想されますが、そんなインドの経済を担う企業について皆さんはどの程度ご存知でしょうか?
私自身は正直、自動車で有名なタタ・グループぐらいしか聞いたことがなかったです。日本ではまだインド企業の製品でなじみ深いものは少ないので、おそらく他の人の多くも私と同じ程度の認識しかないのではないでしょうか?
そんな私を含めた皆さんに向けて、これからのインド経済を担っていく有力企業についてご紹介していこうとシリーズ企画を立ち上げました。
第三回は、インド初の米NASDAQ上場を果たしたIT企業「インフォシス」について解説いたします!
インフォシスの概要
インフォシスは、1981年に7人の技術者がガレージで起業してから、一代でインド有数のIT企業へと成長したまさに「インドのapple」のような企業です。インフォシスの事業は、オフショアアウトソーシングと呼ばれるインドの地理的文化的特徴を活かしたビジネスモデルによって欧米企業からの受注を大量に獲得し急成長をしてきました。
このモデルについて説明すると、まず、インドは地理的にアメリカと時差が12時間ほどあり、アメリカの夜はインドの昼になるため、アメリカ企業のシステム開発やメンテナンスをインドに依頼すれば、営業中にシステムを停止してメンテナンスを行う必要がなくなり、もしアメリカでもシステム開発を行えば実質24時間体制で効率的にシステム開発を行うことができるというメリットがあります。
また、インドには優秀なIT人材が多いことや、英語が準公用語であることなど文化的な面でも、欧米の企業にサービスを提供するうえでの強みがあり、そのことにいち早く気づいたインフォシスが、このオフショアアウトソーシングの事業を1990年代ごろから行い、その当時インドではソフトウェア輸出には課税がなされなかったことも相まって、急成長を遂げたのです。
インフォシスの低価格で高品質なサービスは主に米国企業に認められ、1999年にはインド企業初の米NASDAQ上場を果たし、現在でもインド企業でありながら収益のほとんどは欧米向けが占めており、世界46か国に展開を行うグローバル企業になっています。
ちなみにですが、去年イギリスの首相に就任したリシ・スナク首相の奥さん、つまりイギリスのファーストレディのアクシャタ・ムルティ氏は、このインフォシスの共同創業者の娘に当たる方で、遺産相続の際には数十億ポンドも相続するといわれており、スナク首相がイギリス国内で「最も裕福な議員の一人」と評される一因になっているようです。このことについては様々な批判もあるため、今後インフォシスとイギリス企業の結びつきが強くなるかは分かりませんが、インフォシスが国際政治に影響を与えるほどの大企業であり、今後の動向が注目される企業であることは間違いないでしょう。
インフォシスの強み
インフォシスの強みは、なんといっても高品質なITサービスを提供できる人材力でしょう。
先述したように、インドでは優秀なIT人材が多いのですが、その中でもインド理科大学院など、世界レベルの大学の出身者がインフォシスで働いています。そのため、採用時からすでに優秀な社員が多いのですが、インフォシスでは新卒から一貫した人材教育にも力を入れており、厳しい採用過程を経て採用された社員全員は、訓練センターで3カ月にわたり集中訓練を受けることになっているのです。この訓練センターの規模が桁違いで、センターは340エーカーの土地に500人の講師と200の教室を備えた巨大なキャンパスとなっており、世界最大の企業内大学とも言われています。
もちろん、人材育成は厳しいだけではなく、きちんと従業員を定着・成長させるためにそれぞれの社員が目指す分野のプロフェッショナルとして成長できるキャリア形成支援など様々な取り組みも行っており、離職率は低く、優秀なソフトウェア人材から信頼される企業になっています。こういった従業員から信頼される企業には、今後さらに優秀な人材が世界中から集まるため、これからもインフォシスの優秀な人材が世界中の企業のITを支えていくことが予想されます。
インフォシスはインドから世界のITを支える大企業!
今回は、よく知らないインド株を紹介シリーズの第三回目として、インフォシスについて紹介しました。
インフォシスはインド初のの米NASDAQ上場を果たしたIT企業で、欧米からのインドに対する評価を一変させ、世界中のIT企業のインド投資を呼び起こしたきっかけの企業とも言えます。現在は、英語圏の顧客を多数抱えている同社ですが、日本をはじめ非英語圏での事業展開も積極的に行っており、DX化推進の波に乗って、今後日本でも名前を聞くことも増えてくるかもしれません。加えて、現在は収益の多くを国外の企業から獲得している同社ですが、インド自体の経済成長に伴って、国内のIT化推進でも今後大きな役割を担うことが期待されます。
また、インフォシスは人材面で強みがあり、優秀な人材であれば国籍を問わず、新卒から手厚く人材教育を施してくれて、それぞれの社員が目指す分野のプロフェッショナルとして成長できるキャリア形成支援も行ってくれる人材を大切にする企業です。そのため、日本の優秀な学生が入社希望する企業のリストの中にインフォシスの名前が載る日もそう遠くないかもしれません。
今回は「【よく知らないインド株を紹介!③】インフォシスを解説!」について書きました。
記事の中で参考になる点があれば運用のヒントにしてみてください。
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