【増配だけど・・・】私がケネディクス系REITの合併を喜べない理由

REIT

流動性が高く、少額から不動産投資ができ、さらに高配当である点が魅力のREITについて、皆さんが重視する点はどこでしょうか?それは当然高配当であることですよね。そういう意味ではREITの増配のニュースは嬉しいニュースといえます。

しかし、増配のニュースを喜べない場合もあるのです。

先日、日本の不動産投資ファンドの草分け的な存在であり、国内最大規模の受託資産を持つ不動産ファンドであるケネディクスが展開するREIT3銘柄が合併を行い、合併比率から住居型のケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人の合併後の分配金基準が大幅な増配となることが発表されました。

実は私も、このケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人を毎月定額で積立投資していた投資家の一人だったのですが、正直この合併については残念としか言えず、今後の積立投資先をケネディクスから変更しなければならないのではないかとさえ考えています。

今回は、私がこの増配のニュースを喜べない理由について書いていきます。

ケネディクス系REITの合併の概要

今回の合併の対象となっている銘柄は、先述した住居型のケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人<3278>(以下住居型)とオフィス型のケネディクス・オフィス投資法人<8972>(以下オフィス型)、商業施設型のケネディクス商業リート投資法人<3453>(以下商業型)の3つで、オフィス型を存続法人として、そこに住居型と商業型を統合する形となります。

そのため、合併比率はオフィス型を基準とし、オフィス型:住居型:商業型=1 : 0.67 : 0.84という比率で行われ、さらに存続するオフィス型については1口未満投資主が発生することを避けるため、投資口を2分割することが発表されています。

合併後の投資法人については、資産規模は1兆1500億円弱となり、業界内での資産規模は3位に上昇することになります。

また、合併後の最初の決算期(2024年4月期)予想分配金は1口当たり3,800円とし、目標は4,000円となっております。こちらの分配金予想について、一見すると住居型の前期の分配金実績が4,257円でしたので減配しているように見えるのですが、住居型の合併比率は0.67であり、それを考慮すると予想分配金は3,800/0.67=5,671円となり、大幅な増配になっていることが分かります。

私がこの増配のニュースを喜べない理由

私がこの大幅な増配のニュースを喜べない一番の理由は、合併後の投資対象の比率が大幅に変更されてしまうからです。

そもそも現在私が投資しているケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は、もともと住居特化型として上場したREITでしたが、途中でヘルスケア施設を投資対象としていたREITと合併を行ったため、住居75%、ヘルスケア施設23%、ホテル2%というとても独特な資産構成をしているREITでした。

それが合併を行うと下記のような資産構成に変化してしまうのです。

別記事でも触れていますが、REITは投資対象の不動産の用途によって様々な特徴を持っており、住居型は分配金利回りは他と比べて低いが、長期的に安定的な運用が可能なタイプと言われています。そのため、毎月定額での積立投資と相性が良く、分散投資の一環として、株式とは別の動きをする資産を運用資産の中で一定比率で持ち続ける上では住居型のREITがピッタリといえます。

また、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人には、ヘルスケア施設も1/4混ざっていますが、高齢化社会の日本において、ヘルスケア施設の需要が今後減ることはなく、商業施設のように世の中の景気に左右されるような施設でもありません。なので、住居型の安定感はそのままに、ヘルスケア施設という今後の収益の種もある素晴らしい資産構成のREITだと思い、住居型の中でも高配当の部類だったため、私もこれまで積立投資を行ってきたのです。

しかし、この合併後の比率を見てしまうと、今後積立投資を行う気にはなれません。

景気の影響を受けやすいと言われるオフィス型と商業施設型の比率が合計で6割を超えており、とても安定感のあるREITとは言えません。今回の合併の意図として投資法人側は、「投資対象セクターの拡大を行うため」としていて、今後オフィスの売却を通じてポートフォリオ比率を下げ、代わりに物流施設やホテルを取得する方針を示しているので、合併後ずっとこの資産構成比率が継続するわけではないと思われますが、構成資産が複数になることは変わらず、値動きが読みにくい銘柄になってしまうことは避けられないでしょう。

私は投資の基本は「分からないものには投資しない」だと思っているので、たとえ高配当でも今後の資産構成が不透明な今回の合併後のREITについては、積立投資を継続できないと考えています。ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人は住居型の中でも面白い資産構成で、配当も十分にあったので今回のニュースは大変残念でした・・・

REITは配当利回りだけではなく、資産構成も大切!

今回の記事では、ケネディクス系REITの合併のニュースについて取り扱いました。

今回の合併のニュースで、住居型を保有している私は一番増配の恩恵を受けたことになるのですが、正直残念な気持ちのほうが大きかったです。

私がREITに求めていたのは、値動きの激しい株式とは別の資産として、利益を常に確保できる安定感でした。そのため、住居型のREITに毎月積立投資をしており、今回の合併による資産構成の変化は増配のニュース以上に私の投資方針に大きな影響を与えることになりました。

REITは確かに高配当が売りの資産ですが、資産運用においてのメイン資産はやっぱり株式です。そのため、REITに求められるのは、高配当以上に株式の激しい値動きを中和する安定感ではないでしょうか?もちろん、私自身もREITの配当利回りは非常に気にしていますが、利回りだけに気を取られず、資産構成からそのREITの特徴を捉えておくことも、REIT投資の大事な要素かと思います。

今回は「【増配だけど・・・】私がケネディクス系REITの合併を喜べない理由」について書きました。

記事の中で参考になる点があれば運用のヒントにしてみてください。

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